駅から5分』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ

次巻発売情報

このシリーズは完結済みです

この作品について

記憶を失った主人公が、インターネット掲示板に残された断片的な書き込みを頼りに、自分の過去を探っていく。仕事を解雇され、母との関係にも亀裂が入り、それでも心のどこかに残る「一目惚れ」の感覚。弓道場の静謐な空気の中で、彼女は失われた自分と向き合う。記憶喪失という設定は使い古されたモチーフだが、倉持房子が描くのは謎解きのスリルではなく、自分を取り戻す過程そのものだ……。

倉持房子は1990年代から2000年代にかけて『恋愛カタログ』など女性向け作品を手がけてきた作家だが、本作はその中でも異色の位置を占める。掲示板という当時まだ新しかったツールを物語の核に据え、デジタルとアナログ、記憶と記録という対比を静かに浮かび上がらせている。母娘の確執、解雇という社会的な痛み、そして一目惚れという感情の原初的な輝き。それらを弓道という「型」を通して描き出す手腕は確かで、手塚治虫文化賞新人賞を受賞したのも納得です。既刊3巻という短さの中に、濃密なドラマが凝縮されています。

2003年に映画化もされた本作は、2000年代初頭という時代の空気を色濃く残しながら、普遍的な「喪失と再生」のテーマを描いた作品です。今読んでも古びない理由は、そこにあります。

まだ読んでいないあなたへ

手塚治虫文化賞の新人賞を受賞し、映画化までされた作品なのに、なぜか知らない人が多いんです。

記憶を失った主人公が、インターネット掲示板という当時まだ珍しかったツールを通じて自分の過去を探っていく。2000年代初頭の空気感が、今読むとむしろ新鮮なんですよ。携帯もSNSもない時代、匿名の書き込みだけが唯一の手がかりで、見ず知らずの誰かの言葉に縋るしかない。その心細さと、それでも前を向こうとする姿が胸に刺さります。

一目惚れ、解雇、弓道、母の愛。一見バラバラに見える要素が、記憶の断片のように少しずつ繋がっていく構成が本当に上手くて、ページをめくる手が止まらなくなるんです。倉持房子さんの描く女性の心の揺れは、綺麗事じゃない。迷って、傷ついて、それでも歩き出す瞬間の説得力がすごい。

既刊3巻で完結しているので、週末に一気読みできます。2003年の映画版も評価が高いですが、原作には原作にしかない繊細な間と余白があるんです。記憶を失うことの怖さと、それでも誰かを愛する強さを知りたい人に、ぜひ読んでほしい一作なんですよ。

巻一覧(発売順)

よくある質問

『駅から5分』は全何巻?

全3巻で完結済みです。