『山へ行く』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
次巻発売情報
このシリーズは完結済みです
この作品について
都会の喧騒を離れ、ひとり山へ向かう女性たち。彼女たちは何かから逃げるように、あるいは何かを求めるように、静かに登山道を歩く。山の自然は言葉を持たないが、その沈黙の中で彼女たちは自分自身と向き合い始める。日常では見えなかった感情の襞、見ないふりをしてきた心の澱。山という場所が、そうしたものを浮き彫りにしていく……。
萩尾望都が『トーマの心臓』や『ポーの一族』で描いてきたのは、言葉にならない心の揺れや、繊細な関係性の機微だった。本作ではその視線を、思春期の少年少女ではなく、人生の岐路に立つ大人の女性へ向けている。Flowersという媒体で発表された本作は、日常に疲弊した女性たちが山という非日常に身を置くことで、自分を取り戻していく過程を淡々と、しかし確かな筆致で描く。スライス・オブ・ライフの静謐さと、心理描写の深度。この両立こそが、本作を単なる「癒し系」に留まらせない理由です。第1回フラワーズ新人漫画賞を受賞した作品として、萩尾の新たな境地を示した一作といえるでしょう。
既刊3巻。山へ行くことは、逃避ではなく、自分という他者と出会い直すための旅です。
まだ読んでいないあなたへ
萩尾望都が山を描くんです。
『トーマの心臓』や『ポーの一族』で少年たちの魂を削り出してきた巨匠が、今度は「山」と向き合う。それだけで尋常じゃない。全3巻というコンパクトさも異例です。萩尾望都が短く区切るとき、そこには無駄が一切ない。削ぎ落とした先に、人間の本質だけが残るんです。
主人公は女性。彼女が山へ向かう。ただそれだけの話なんですが、この「ただそれだけ」が恐ろしく深い。山は黙って立っているだけなのに、登る者の心を映し出す鏡になる。自分が何者で、何を恐れ、何を求めているのか。自然は何も語らないからこそ、問いかけてくるんです。
この作品、派手な展開はありません。でも読んでいると、自分の呼吸が主人公と同期していくのがわかる。一歩ずつ登る足取り、空気の冷たさ、木々のにおい。萩尾望都の線は、山の静けさまで写し取るんですよ。
『Flowers』で連載されていた、女性に向けた心理劇。でも性別関係なく、誰もが抱える「自分って何だろう」という問いに、山という舞台を借りて答えようとしている。全3巻で完結しているから、週末に一気読みできます。読み終わったとき、あなたも山に行きたくなるはずです。
巻一覧(発売順)
よくある質問
『山へ行く』は全何巻?
全3巻で完結済みです。