ビターバージン』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ

この作品について

大学生の山田は、友人たちが恋愛やセックスの話題で盛り上がる中、自分だけ童貞であることに焦りと劣等感を抱えている。周囲に合わせて経験があるかのように振る舞うが、そのたびに自己嫌悪に陥る。ある日、バイト先で出会った年上の女性・桐谷に惹かれた山田は、初めて本気で誰かを好きになる感情と向き合うことになる。しかし、恋愛経験のなさゆえの不器用さと、自分を偽ってきた後ろめたさが、彼の一歩を重くする……。

この作品が秀逸なのは、性体験の有無という表層的なテーマを扱いながら、実は「他者と本当の意味で繋がること」への怖れと渇望を描いている点です。作者の岩橋健一郎は、前作「ふたりソロキャンプ」で孤独を抱えた人々の心の機微を繊細に描き出しましたが、本作ではその筆致がさらに研ぎ澄まされています。山田の内面描写は痛々しいほどリアルで、彼が抱える承認欲求と自己否定の往復運動は、性別や世代を超えて多くの読者の胸を抉るでしょう。桐谷というキャラクターもまた、単なる恋愛対象ではなく、彼女自身の傷や複雑さを持った存在として立ち上がってくる。このバランス感覚こそが、恋愛漫画というジャンルの中でも際立つ部分です。

「童貞」という言葉の持つスティグマを笑いに変えず、かといって悲劇にも堕さない。その誠実な語り口が、読み終えた後にじわじわと効いてきます。あなたが今、誰かと繋がることに臆病になっているなら、この作品はきっと何かを教えてくれるはずです。

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