『エマ』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
次巻発売情報
このシリーズは完結済みです
この作品について
19世紀末、階級社会が厳然と存在するロンドン。富裕な紳士の息子ウィリアムは、ある日訪れた恩師の家で働くメイド・エマと出会い、一目で心を奪われる。身分違いの二人に許された関係などあるはずもない。それでも芽生えた想いは、ビクトリア朝という時代の重い空気の中で、静かに、しかし確かに育っていく……。
森薫のデビュー作にして代表作である本作は、のちの『乙嫁語り』へと続く「歴史的ディテールへの偏執的なこだわり」の原点だ。メイドの制服、室内装飾、食器、街並み——当時の風俗を膨大な資料から再構成し、読者をビクトリア朝イギリスへと連れ去る。Comic Beam連載という青年誌の枠の中で、恋愛漫画でありながら徹底した時代考証を貫いたことが、第4回手塚治虫文化賞受賞につながった。恋の行方よりも、窓枠のデザインや食卓の配膳に目が行ってしまう。それこそが森薫作品の魔力であり、本作が後続の時代劇漫画に与えた影響は計り知れない。既刊10巻に詰め込まれた緻密な画の集積は、アニメ化・実写映画化を経ても色褪せるどころか、資料的価値すら帯びている。
「禁断の恋」という題材は古典的です。しかし、これほど誠実に時代と向き合った作品は稀です。
まだ読んでいないあなたへ
手塚治虫文化賞。
それだけで語れる作品じゃないんです、これは。
19世紀末のロンドン。メイドと上流階級の青年が出会ってしまった。一目惚れというのは、二人が同じ世界に立っているときだけ美しい話で、この二人の間には想像を絶する階級の壁があるんです。会話するだけでも周囲が眉をひそめる。手を取り合うことすら許されない。それでも惹かれ合ってしまった二人を待っているのは、「好き」だけではどうにもならない現実なんですよ。
森薫が描くビクトリア朝のディテールが、この恋の残酷さを際立たせるんです。煤けたレンガ街、メイド服のエプロンのしわ一本、貴族邸の階段の手すりの彫刻まで、すべてが「そこに確かに存在した世界」として立ち上がる。だからこそ、二人の想いの重さが胸に刺さるんです。
既刊10巻。この巻数で、人間の尊厳と恋の業をここまで描ききった作品を私は他に知りません。眼鏡をかけたメイド、エマの表情の機微を一度見てほしい。彼女が何も言わずに目を伏せる、そのたった一コマに込められた感情の奔流に、あなたは完全に飲み込まれます。
後に『乙嫁語り』で世界を魅了することになる森薫の、原点にして最高傑作。読み終えた後、victorian時代の写真集を探している自分に気づくはずです。
巻一覧(発売順)
よくある質問
『エマ』は全何巻?
全10巻で完結済みです。