『伊藤潤二自選傑作集』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
人間の顔に穴が開く奇病、壁の隙間から覗く異形、螺旋に取り憑かれた町、美への執着が生む狂気——。伊藤潤二の代表作を作者自ら選び抜いた一冊は、ホラー漫画の金字塔とも言える短編群を収録している。どの作品も日常と地続きの場所で、理解を拒む恐怖が静かに膨れ上がっていく……。
伊藤潤二は『富江』『うずまき』で知られる日本ホラー漫画界の第一人者である。本作は彼自身が厳選した珠玉の短編集で、初期の傑作から円熟期の作品まで、その作風の振れ幅を一冊で体感できる。特筆すべきは、どの作品も「怖がらせ」に終始しないことだ。異常事態が起こる理由は明かされず、登場人物は合理的な説明を求めて彷徨い、やがて諦める。この「わからなさ」こそが、読後に残る不快感の正体です。緻密な線で描かれた人体の変容、無表情なコマ割りで淡々と進む狂気——。楳図かずおの系譜を継ぎながら、まったく異なる恐怖の様式を確立した伊藤潤二の仕事は、ホラーというジャンルを超えて、漫画表現の可能性そのものを問い直している。
読み終えても、何かが腑に落ちない。その違和感が、あなたの日常にひっそりと棲みつきます。