『結婚するって、本当ですか 365 Days To The Wedding』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
旅行代理店で働く大堀桃と高野都は、どちらも仕事には真面目だが対人関係が苦手な30代独身社員。ある日、海外への異動話が持ち上がる。二人とも内向的な性格ゆえに海外勤務は避けたい。そんな折、「既婚者は異動対象外」という噂を耳にした彼らは、互いの利害が一致したことで偽装結婚を画策する。だが演技のはずの関係が、次第に本物の感情へと変わり始めて……。
若木民喜といえば『神のみぞ知るセカイ』で少年漫画の文脈にギャルゲー的攻略を持ち込んだ作家だが、本作では一転、大人の恋愛を丁寧に描く。偽装結婚という設定自体は目新しくないものの、秀逸なのは二人の距離の詰め方だ。過剰な心理描写に頼らず、同僚の視線を気にしながらぎこちなく手を繋ぐ、社食で向かい合って座る、といった些細な行動の積み重ねで関係性を変化させていく。互いに「相手に迷惑をかけたくない」と考えるあまりすれ違う様は、恋愛経験の少ない30代のリアリティそのものである。絵柄も前作のポップさから一歩引いた落ち着きを持ち、表情の機微を捉える演出が冴える。
不器用な二人が、演技と本心の境界で揺れ動く365日。焦らず、じっくりと、この距離が縮まる過程を見届けてほしい一作です。