シグルイ』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ

この作品について

寛永六年、駿府城内で催された御前試合。将軍家光の命により、真剣を用いた果し合いが執り行われる。対峙するは、駿河御前試合最強の剣士・藤木源之助と虎眼流門下の俊英・伊良子清玄。だが源之助は隻腕、清玄は盲目。なぜこの二人が、満身創痍の姿で相まみえるのか──。

原作・南條範夫、作画・山口貴由による本作は、秋田書店「チャンピオンRED」で連載された時代劇画である。山口貴由といえば『覚悟のススメ』で知られるが、本作では一転して江戸初期の剣豪小説を題材に選んだ。そして生まれたのは、剣術への狂気と暴力描写を極限まで研ぎ澄ませた異形の時代劇だ。冒頭の御前試合から過去へ遡る構成で、師・岩本虎眼を中心とした虎眼流道場の権力闘争、そこに絡む愛憎と裏切りが、容赦ない筆致で描かれていく。山口貴由の線は、人体の断面や内臓までをも精緻に描写し、「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉を、美学ではなく文字通りの肉体の破壊として提示する。南條範夫の原作が持つ古典的な様式美を、現代の劇画表現で解体し再構築した手腕は、時代劇画というジャンルに新たな水準を刻んだ。

御前試合という結末を知りながら、なお読者は「なぜそうなったか」へ引き込まれていきます。人間の業と狂気が、ここまで冷徹に描かれた時代劇は稀有です。

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