『げんしけん』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
笹原完士は大学入学と同時に、オタク趣味の集まる「現代視覚文化研究会」、通称「げんしけん」に入部する。アニメ、ゲーム、同人誌——サークル室に集う面々は、それぞれ異なるオタク属性を持ちながら、微妙な距離感で共存している。非オタクの春日部咲が恋人の高坂を追ってこのコミュニティに紛れ込んだことで、内と外の境界線が揺らぎ始める……。
木尾士目が『月刊アフタヌーン』で2002年から連載を開始した本作は、サブカルチャーを「笑いのネタ」ではなく「生活の一部」として描いた点で画期的だった。オタク趣味を扱った作品は数あれど、コミケ準備の徹夜作業や同人誌即売会での人間関係、果てはアニメ声優のラジオ番組への投稿といった「オタクの日常」をリアルタイムで活写した点で、この作品は唯一無二である。特筆すべきは、登場人物たちの会話に漂う「何も起きていないようで、確実に関係性が変化している」空気感です。田中の不器用な優しさ、斑目の自虐、高坂のマイペースさ——誰ひとり説明的なセリフを吐かないのに、読めば読むほど各人の輪郭がくっきりしてくる。
オタク文化への愛情と冷徹な観察眼が同居した、2000年代を代表する青春群像劇です。あなたがかつてサークル室で過ごした時間を、あるいはこれから出会う居場所を、この作品は既に知っています。