『軍鶏』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
両親を刃物で殺害し、少年院に収容された成嶋亮。彼は院内で空手の達人・黒川と出会い、実戦空手の修行に打ち込む。出所後、成人として社会に放り出された彼を待っていたのは、前科者という烙印と、自分の居場所を見つけることすらままならない日常だった。やがて亮は地下格闘技の世界に足を踏み入れ、そこで生き延びるために拳を振るい続けることになる……。
たがみよしひさ原作、橋本以蔵作画による本作は、「刃牙」シリーズが少年誌的なエンタメ性で格闘漫画の王道を行くのに対し、徹底して社会の暗部に焦点を当てた異色作だ。主人公は更生を目指す少年ではなく、殺人という過去を抱えたまま社会の隙間をさまよう存在として描かれる。橋本以蔵の線は無駄な装飾を排し、暴力の瞬間を生々しく刻みつける。試合の勝敗よりも、なぜ亮が闘わざるを得ないのかという問いが物語を貫く。更生施設や暴力団、地下格闘技といった舞台設定は、単なる背景ではなく、彼を追い詰める社会システムそのものとして機能している点が秀逸です。
格闘技漫画でありながら、カタルシスを安易に与えない作品を読みたいなら、この作品が最良の選択肢になるでしょう。