『謎の彼女X』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
ある日、男子高校生・椿明は転校生の謎めいた少女、卜部美琴と出会う。机に突っ伏して眠り続け、クラスに馴染もうともしない彼女。好奇心から、彼女が昼寝の際に机に垂らした"よだれ"を指ですくい、舐めてしまった椿は、それ以来、美琴のことが頭から離れなくなる。やがて二人は交際を始めるが、美琴は「私のよだれを毎日舐めて」という奇妙な条件を突きつけてくる……。
『謎の彼女X』は、植芝理一が「アフタヌーン」で連載した異色の青春ラブコメディだ。植芝は『ディスコミュニケーション』で不条理な会話劇と奇妙な人間関係を描き、独特の作風を確立した作家である。本作でもその特徴は健在で、"よだれ"という生々しくもどこかフェティッシュなモチーフを通じて、思春期の不器用なコミュニケーションを描き出している。ただのギャグではない。よだれを介した二人のやりとりは、言葉にできない感情や欲望を可視化する装置として機能する。美琴の謎めいた笑顔、椿の戸惑い、そして二人の間に流れる緊張感。セックスレスでありながら、どこまでもエロティックな空気が漂うのは、植芝が"触れ合わない親密さ"を描く術を心得ているからだ。
設定だけ聞けば奇天烈だが、読めば納得する。これは確かに、青春の一形態です。