『かくかくしかじか』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
絵が上手いと自負する高校生・林明子は、美大受験のため日高先生の絵画教室に通い始める。だが、この竹刀を振り回す厳格な指導者は、明子の慢心を容赦なく叩き潰していく。怒鳴られ、殴られ、泣きながら描き続けた日々。やがて明子は漫画家として世に出るが、恩師との約束を果たせぬまま、ある日突然の訃報を受け取ることになる……。
東村アキコの自伝的作品である本作は、『海月姫』や『東京タラレバ娘』といった華やかなヒット作とは異なる、作家の原点を赤裸々に描いた一作です。日高先生という圧倒的存在感を持つ人物を軸に、創作者としての礎を築いた青春時代が綴られる。特筆すべきは、師弟関係を美化せず、感謝と後悔が入り混じる複雑な感情を丁寧にすくい上げた点だ。いわゆる「感動的な師弟物語」の型に収まらない、痛みを伴う真実がここにはある。絵の上達過程を克明に描く手つきも見事で、創作に向き合う者なら誰しも共感せずにいられない瞬間が随所に散りばめられている。
笑いながら読んで、気づけば涙が止まらなくなる。そんな稀有な読書体験が、あなたを待っています。