『テラフォーマーズ』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
火星のテラフォーミングに放たれたゴキブリが、500年後に進化した人型生物「テラフォーマー」として人類に牙を剥く。地球の資源枯渇を解決するため火星に派遣された調査隊員たちは、特殊な「バグズ手術」によって昆虫や動物の能力を宿した改造人間となり、圧倒的な身体能力と知性を持つゴキブリの群れと死闘を繰り広げる。人類とゴキブリ、どちらが火星の支配者となるのか……。
作者の貴家悠は『TOUGH』シリーズで知られる猿渡哲也の系譜に連なる格闘漫画の書き手だが、本作では橘賢一との共作で全く新しい領域に踏み込んだ。昆虫学の知識を徹底的に盛り込み、各隊員が宿す生物の生態を戦闘描写に落とし込む手法は、『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドバトルを彷彿とさせるものがある。しかし本作の真価は、そこに国家間の思惑、遺伝子操作技術をめぐる倫理、そして人種問題すら絡めた重層的な物語構造にあります。ゴキブリという「嫌われ者」を敵に据えることで、読者の本能的な嫌悪感を利用しながら、同時に人類の傲慢さを突きつける構図は見事だ。週刊ヤングジャンプ連載時から賛否両論を巻き起こしたグロテスクな描写は、この作品世界が抱える絶望の深さを体現している。
火星という閉鎖空間で繰り広げられる異種格闘戦は、一度読み始めれば容赦なく引きずり込まれます。SFとバイオレンス、そして人間ドラマが三位一体となった、2010年代を代表するダークヒーロー漫画です。