『ビブリオマニア』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
古書店を営む青年・篠原は、客として訪れた女性・綾瀬に一冊の古書を手渡す。それは彼女が幼少期に読み、ずっと探し続けていた絵本だった。綾瀬の涙を見た篠原は静かに語る。「本は人を救うこともあれば、狂わせることもある」と。彼自身もまた、ある一冊の本に人生を狂わされた過去を持つ男だった……。
著者は『古書の森の守り人』で注目を集めた新鋭だが、本作では前作の牧歌的な雰囲気を完全に捨て去った。タイトルの「ビブリオマニア」とは書物蒐集狂を意味する。篠原が追い求めるのは希少本の金銭的価値ではなく、本そのものが持つ「物語」と「記憶」です。ある本は戦時中に焼かれるはずだった禁書であり、ある本は無名作家が自費出版した幻の処女作である。篠原はそれらを探し、手に入れ、時には手放す。この繰り返しが淡々と、しかし確実に読者の心を掴んでいく。古書ミステリというジャンルで言えば、北村薫や芦辺拓の系譜にあるが、本作が優れているのは「本への執着」を美化しない点だ。篠原の情熱は時に病的で、周囲の人間を傷つける。その危うさこそが、この作品の核心です。
本を愛する人ほど、この物語の怖さがわかるはずです。