『恋は雨上がりのように』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
高校陸上の有望株だった橘あきらは、アキレス腱の怪我で競技を断念し、心に穴を抱えたまま日々を過ごしていた。そんな彼女が雨宿りをしたファミレス「ガーデン」で出会ったのは、バツイチで冴えない45歳の店長・近藤正己。彼の何気ない優しさに心を動かされたあきらは、アルバイトとして店に通い始め、やがて恋心を抱くようになる。走れない自分を責め続けていた少女と、夢を諦めた中年男性。二人の距離は少しずつ、しかし確実に縮まっていく……。
眉月じゅんは本作が初の長編連載でありながら、10代の恋愛を描く際の"痛さ"と"真摯さ"のバランスを完璧に制御している。あきらの恋は、世間的には「イタい片想い」と切り捨てられるかもしれない。だが作者は彼女の感情を茶化さず、同時に美化もせず、ただ丁寧に掬い上げる。近藤もまた、単なる「優しいおじさん」ではない。小説家を志しながら挫折し、離婚を経験し、今はファミレス店長として日々をこなす彼には、諦めの匂いが染みついている。この二人が互いに何を見出し、何を取り戻していくのか——その過程を描く筆致は、少女漫画でも青年漫画でもない、独自の温度を持っている。雨の描写の美しさも特筆すべきで、タイトル通り、雨は二人の関係性を象徴する重要なモチーフとして機能する。
誰もが一度は経験する「走れなくなる瞬間」と「諦めた後の人生」を、この作品は優しく、しかし容赦なく見つめます。読み終えた後、あなたの中の何かが、少しだけ動き出すはずです。