『死神坊ちゃんと黒メイド』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
触れた者を死なせる呪いをかけられた少年貴族、通称「坊ちゃん」は、森の奥深くにある屋敷で隔離生活を送っている。彼の世話係を務めるのは、黒いドレスに身を包んだメイドのアリス。アリスは坊ちゃんへの好意を隠そうともせず、積極的にスキンシップを図ろうとする。しかし坊ちゃんは呪いのために彼女に触れることができない。二人の距離は数センチ、されど永遠に――。
井上小春は『月刊サンデーGX』を主戦場として、本作で初の大きな注目を集めた。ラブコメというジャンルにおいて、「触れられない」という制約は珍しくない。だが本作が優れているのは、この制約を単なる障害としてではなく、関係性を深める装置として機能させている点だ。坊ちゃんとアリスの攻防は一見じゃれ合いに見えて、実は互いの本心を探り合う高度な心理戦になっている。アリスのボディタッチ未遂に対し、坊ちゃんは言葉で応戦する。この「肉体」と「言語」の非対称な応酬が、二人の距離感を絶妙に保ちながら少しずつ縮めていく。加えて、坊ちゃんを取り巻く使用人たちや、呪いの謎を追うサブプロットが物語に奥行きを与えている。絵柄も美麗で、特にアリスの表情の豊かさは必見です。
「触れたいのに触れられない」というもどかしさを、ここまで甘美に描き切った作品は稀です。ラブコメの新定番として、ぜひ一度手に取ってみてください。