『NHKにようこそ!』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
大学を中退して以来、四年間ひきこもり生活を送る佐藤達広。二十二歳になった彼の前に、謎の美少女・中原岬が現れ、「あなたをひきこもりから救い出します」と宣言する。佐藤は彼女の"プロジェクト"に付き合わされ、同じくひきこもりの後輩・山崎とエロゲー制作に励むことになるが、その先に待っていたのは……。
滝本竜彦の同名小説を大岩ケンヂが漫画化した本作は、2000年代の「セカイ系」「美少女ゲーム文化」と地続きの空気を纏いながら、それらの作品群とは決定的に異なる毒を持っている。『電車男』がネット文化の牧歌的な側面を切り取ったとすれば、こちらは引きこもり当事者の焦燥と自己嫌悪、そして他者への依存と拒絶を、容赦なく描き出す。佐藤の思考回路は被害妄想と自己正当化に満ちており、読んでいて居心地が悪い。だがその不快感こそが、この作品の誠実さだ。大岩ケンヂの絵柄は滝本の原作が持つ暗さをそのまま引き継ぎつつ、ギャグシーンでは思い切り崩れ、シリアスな場面では容赦なく痛々しい。ヒロインの岬にしても、単なる「救済者」では終わらない。彼女もまた、何かから逃げているのだ。
ひきこもりを扱った作品は数多いが、ここまで当事者の内面に踏み込み、甘さを排した作品は稀有です。読後、あなたは確実に何かを突きつけられます。