『姉なるもの』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
両親を亡くし天涯孤独となった少年・夕は、古ぼけた洋館で不思議な"姉"と出会う。彼女の名は千夜。妖艶な容姿と母性的な優しさを兼ね備えた彼女は、実はクトゥルフ神話に登場する邪神の眷属だった。人外の存在でありながら、夕を「弟」として慈しみ、料理を作り、寝顔を見守る千夜。彼女との奇妙で穏やかな共同生活が始まる……。
ぽち小屋によるこの作品は、異形の存在との疑似家族を描いた点で独自の立ち位置を築いている。同人版から商業連載へと移行した経緯を持ち、元々はR18要素を含んでいたが、KADOKAWAでの連載版では家族愛としての関係性が前面に押し出された。クトゥルフ神話という本来ならば恐怖と狂気の源泉である存在を、日常系のフォーマットに落とし込んだ手腕が光る。千夜の外見は蛸を思わせる触手を持ちながら、その仕草や言動は献身的な姉そのもの。ここには「恐ろしいもの」と「愛おしいもの」の境界を曖昧にする試みがあります。絵柄は柔らかく、時折挿入されるコミカルな表情が作品全体の温度を保っている。家族の不在を抱えた少年が、人ならざる者から注がれる無償の愛情によって癒されていく過程は、血縁を超えた「家族」の多様性を静かに問いかけてくる。
孤独を知る者ほど、千夜の優しさが胸に刺さるはずです。異形と少年の関係が紡ぐ、奇妙で温かな物語を味わってください。