おもいでエマノン』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ

この作品について

記憶が三十億年前から途切れることなく続く少女、エマノン。彼女は生命の誕生から現代まで、生まれ変わりを繰り返しながら全ての記憶を受け継いできた。大学生の「ぼく」は偶然の出会いから、この不思議な存在と言葉を交わすことになる。彼女の語る記憶は、果たして妄想なのか、それとも……。

梶尾真治の名作SF小説『おもいでエマノン』を、鶴田謙二が漫画化した本作は、原作の持つ静謐な叙情性を、繊細な作画で昇華させている。鶴田謙二といえば『SPIRIT OF WONDER』で知られるイラストレーター・漫画家ですが、本作ではSF的ガジェットよりも、エマノンという存在そのものの儚さと孤独を描くことに注力しています。原作小説が持つ哲学的な問いかけ——記憶とは何か、人間の時間感覚とは——を、言葉ではなく「間」と「表情」で表現する手腕は見事です。セリフを削ぎ落とした構成、余白を活かしたコマ割り、そして何より鶴田独特の透明感ある線が、エマノンの永遠性と刹那性を同時に浮かび上がらせる。

SFという枠組みでありながら、この作品が描くのは「忘れられない出会い」という普遍的な感情です。時を超えた記憶を持つ少女との、一度きりの邂逅。その余韻をぜひ味わってください。

まだ読んでいないあなたへ

30億年分の記憶を持つ少女と、一晩だけ語り合った夜のことを、あなたは一生忘れられなくなるんです。

列車で偶然隣に座った女の子が、地球に生命が誕生した瞬間から今日までの全てを覚えていると言ったら、どうしますか。恐竜が闊歩していた時代も、氷河期も、あなたの曾祖父母が生きた戦争の日々も、彼女の中では昨日のことなんです。でも彼女は何も語らない。ただ、ときどき遠い目をして、人間の営みを静かに見つめている。その横顔があまりにも切なくて、美しくて、読んでいるこちらの胸がざわつくんですよ。

鶴田謙二さんの絵が本当に素晴らしい。エマノンの表情ひとつ、視線の先ひとつで、彼女が抱えている時間の重さが伝わってくるんです。梶尾真治さんの原作小説を漫画化した作品なんですが、言葉を削ぎ落としたからこそ立ち上がってくる「永遠を生きる孤独」の質感がすごい。

これは恋愛漫画でもSFでもなく、命のバトンリレーを描いた物語なんです。エマノンの記憶は、彼女が産む娘へと受け継がれる。そして母であったエマノンは、普通の人間として忘れることを許されて生きていく。その仕組みを知ったとき、なぜ彼女があんな目をしていたのか、全部腑に落ちるんですよ。

一晩だけの出会い。でもその一晩が、主人公の、そしてあなたの人生にずっと残り続ける。そういう奇跡が、この一冊には詰まっているんです。

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