私たちの幸せな時間』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ

この作品について

弁護士の母を持ち、恵まれた環境で育った大学生のユジンは、三度の自殺未遂を重ねたのち、伯母に連れられて死刑囚が収容される刑務所を訪れる。面会室で出会ったのは、強盗殺人の罪で死刑判決を受けたユング。生きることに絶望した少女と、死を待つだけの男。二人は毎週木曜日、わずか30分の面会時間を重ねるうちに、互いの過去と向き合い始める……。

韓国の女性作家コン・ジヨンによる本作は、2005年に韓国で発表されるや否や社会現象を巻き起こし、映画化もされた問題作だ。死刑制度への批判的視点を含みながらも、説教臭さとは無縁である。むしろ本作が描くのは、ユジンとユングそれぞれが背負ってきた暴力と孤独の歴史だ。裕福な家庭で育ちながら母の愛を知らず、性的虐待に苦しんだユジン。貧困と家庭内暴力の連鎖から逃れられず、取り返しのつかない罪を犯したユング。二人の対話は、社会が見て見ぬふりをしてきた傷を、丁寧に掘り起こしていく。コミカライズを手がけたチョ・ヒョンアは、原作の静謐な筆致を損なうことなく、表情の繊細な変化で人物の内面を描き切った。

救いのない状況から始まる物語だからこそ、二人が交わす言葉の一つひとつが重く響きます。幸せとは何か。生きるとは何か。あなたもこの30分を、二人と共有してください。

まだ読んでいないあなたへ

死刑囚と、自殺未遂を繰り返す女性。

この二人が出会ったとき、誰が「救い」を語れるでしょうか。

人を殺した男と、自分を殺そうとする女。週に一度、刑務所の面会室で向き合う二人の時間は、最初は沈黙と拒絶に満ちています。でも、やがてその短い時間が、お互いにとって唯一「生きていい」と思える瞬間になっていくんです。この変化を目撃する体験は、胸が締め付けられるほど切実で、同時に温かい。

作者は読者に優しい嘘をつきません。過去の傷は消えない。犯した罪も消えない。それでも人は、たった一人でいいから自分を必要としてくれる誰かがいれば、明日を生きる理由を見つけられる。そのことを、言葉で説明するんじゃなくて、二人の表情の変化で、交わす会話の温度で、静かに描き切っているんです。

読み終わった後、自分の周りにいる人たちの顔が浮かんできます。当たり前に隣にいる誰かが、実はどれだけ尊いか。その人と過ごす何気ない時間が、どれほど奇跡的なものか。この作品は、幸せというものの本質を、痛みを通して教えてくれるんです。

全3巻。ページをめくる手が震えるかもしれません。でも読んでください。あなたの「幸せ」の定義が、きっと変わります。

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