『メイドインアビス』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
孤児院で暮らす少女リコは、母のような偉大な探窟家を夢見ている。彼女が住む街は、人類最後の秘境と呼ばれる巨大な縦穴「アビス」の縁に築かれた。ある日、探窟中に謎の少年ロボット・レグと出会ったリコは、アビスの深層から届いた母の手紙を手に、レグとともに奈落の底を目指す決意をする。帰還不可能と言われる深界へ、ふたりは降りていく……。
つくしあきひとが『WEBコミックガンマ』で2012年から連載を開始した本作は、竹書房という中堅出版社から生まれた奇跡のような作品です。可愛らしい絵柄とは裏腹に、容赦のない試練が待ち受ける過酷な冒険譚。アビスという舞台設定の作り込みは尋常ではなく、深度ごとに変化する生態系や呪いのシステムは、まるで実在するかのような説得力を持っています。ファンタジー冒険ものというジャンルにおいて、『HUNTER×HUNTER』が到達した緻密な世界構築の系譜を継ぐ作品と言えるでしょう。美しさと残酷さが同居する描写は読者を選びますが、その先にある物語の深みは、踏み込んだ者にしか味わえない。
未踏の領域へ挑む冒険の本質を、これほど鮮烈に描いた作品はそうありません。アビスの底で何が待っているのか、その答えを知りたい方はぜひページを開いてみてください。
まだ読んでいないあなたへ
可愛い絵柄に騙されないでください。
深さ2万メートル超の大穴に、少女が降りていく。それだけの話なんです。でも、降りるほどに人間でいられなくなる。この設定だけで、この作品がどれほど狂っているか伝わるでしょうか。アビスという縦穴には「力場の呪い」があって、下る分には平気なのに、上昇すると吐血、出血、最悪は人間性の喪失が待っている。つまり探検者は、降りたら二度と戻れない覚悟で潜るしかないんです。
主人公リコは孤児院育ちの女の子。母は伝説的な探窟家で、アビスの最深部から「待ってる」という手紙だけを残して消えた。だからリコは降りる。ロボットみたいな記憶喪失の少年レグと一緒に。この二人の旅路が、あまりにも過酷で、あまりにも美しいんです。
第4層あたりから空気が変わります。生き物の形が歪み、痛みの描写が生々しくなり、それでも二人は進む。なぜなら、そこには彼らを待つ仲間がいて、解き明かすべき謎があって、何より「母がいる深淵」があるから。子ども向けの冒険譚のように始まった物語が、いつの間にか生命の尊厳を問う残酷なおとぎ話に変貌していくんです。
絵は�緻密で幻想的。見開きいっぱいに広がるアビスの風景は、恐怖と憧憬が同居した異世界そのもの。でも本当に震えるのは、キャラクターたちの「選択」なんです。誰かを助けるために何かを犠牲にする場面、助けられなかった痛みを抱えて進む場面。そのどれもが、読者の胸をえぐってくる。
つるんとした可愛い絵だからこそ、描かれる痛みが際立つ。優しい世界を期待して開いたページで、命の重さを突きつけられる。それがこの作品の本質なんです。
一度降りたら、あなたも戻れません。読み始めたら、最後まで目が離せなくなる作品です。