『ジョジョの奇妙な冒険 ジョジョリオン』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
2011年、東日本大震災後の杜王町。記憶を失った青年が「壁の目」と呼ばれる謎の隆起地帯で発見される。彼は自分が誰なのかわからない。ただ、体には四つの睾丸があり、身体の一部が別人のものと融合している痕跡があった。広瀬康穂という女子大生に助けられ、彼は「東方定助」と名乗ることにする。自分の正体を探るうち、定助は杜王町を支配する果樹園「東方家」の秘密、そして一族が隠し持つ奇妙な「実」の力に近づいていく……。
『ジョジョ』シリーズ第8部となる本作は、荒木飛呂彦が第4部の舞台・杜王町を再び取り上げた異色作だ。だが懐かしさに浸る余裕はない。パラレルワールドを経た舞台設定、記憶喪失の主人公、そして「呪い」でも「遺産争い」でもない——「等価交換」を軸にした新たな物語構造がある。スタンドバトルはより戦術的に、より残酷に進化した。特に岩人間という新種族の導入は、人間の善悪を超えた「生存本能」というテーマを物語に組み込んでいる。過去シリーズのオマージュを散りばめながらも、荒木は決して同じ話を描かない。ここにあるのは、震災後の日本という現実を下敷きにした、血と謎と狂気のサスペンスです。
『ジョジョ』を追い続けてきたファンも、ここから読み始める新規読者も、等しく迷宮に放り込まれます。定助と一緒に、答えのない問いを抱えて歩き出してください。
まだ読んでいないあなたへ
記憶がない男が、自分の名前すら知らない状態で土の中から掘り起こされるんです。
これが「ジョジョリオン」の始まりなんですが、普通のミステリーとはまるで違うんですよ。主人公は自分が何者かを探しながら、同時に「なぜ自分には二人分の記憶の断片があるのか」という謎に直面するんです。しかもその答えを探す舞台が、杜王町という一見平和な街。でも実は、その地面の下には数百年続く呪いが眠っていて。
スタンドバトルも圧倒的に面白いんですよ。敵が攻撃してくるんじゃなくて、触れたものが「何か」に変わってしまう能力とか、追跡してくる謎の追手が壁をすり抜けて迫ってくるとか。どう戦えばいいのか分からない恐怖と、それを打開する瞬間のカタルシスがすごいんです。
でも一番刺さるのは、家族の物語なんですよね。記憶を失った男を匿う東方家の人々が、それぞれに秘密を抱えながらも彼を守ろうとする。血の繋がりって何なのか、家族って何なのかを問いかけてくる。特に後半、ある真実が明かされたとき、それまでの全ての伏線が一本の線で繋がる瞬間があって、鳥肌が止まらなくなるんです。
荒木飛呂彦が到達した「ミステリー」と「バトル」と「人間ドラマ」の最高到達点。これを読まずにジョジョは語れないんですよ。