やがて君になる』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ

この作品について

高校入学を控えた小糸侑は、他人に恋愛感情を抱けない自分に悩んでいた。中学時代、告白されても「特別な感情」が湧かなかった。そんな彼女が入学した高校で出会ったのが、生徒会役員の七海燈子。燈子は誰から告白されても断る完璧な先輩だったが、侑にだけは「好きになってもいい?」と告げる。恋を知らない少女が、恋を知らないまま恋をされてしまう……。

仲谷鳰が「電撃大王」で2015年から連載した本作は、百合というジャンルに新しい文法を持ち込んだ作品である。「恋を知らない主人公」という設定は珍しくないが、侑は単なる恋愛未経験者ではない。彼女は他人を「特別」だと思う感情そのものを理解できない。一方の燈子は、理想の自分を演じ続けることに疲れ、「何も期待してこない」侑にだけ素顔をさらす。この非対称な関係が物語の核だ。従来の百合作品が「恋に落ちる瞬間」を描くことに注力してきたのに対し、本作は「恋とは何か」という問い自体を解体していく。心理描写の精度が高く、二人の距離感が一歩進むたびに、読者の感情も揺さぶられます。

全8巻で完結した物語は、一切の曖昧さを残さず着地する。恋愛の不可解さに悩んだことがあるなら、この作品はあなたのためにある。

まだ読んでいないあなたへ

好きってなんですか? この質問に即答できる人、この漫画を読む必要はないかもしれません。

高校生の小糸侑は、誰かを「特別」に思ったことがありません。友達として好き、家族として好き、そういうのは分かる。でも恋愛小説に出てくるような、世界が変わるような「好き」が、どうしても分からないんです。周りがみんな当たり前に持っているものを、自分だけ持っていない。その違和感を抱えたまま、彼女は生徒会の先輩・七海燈子と出会います。

燈子は完璧な生徒会長として誰からも慕われる存在。でも彼女もまた、誰かを特別に思ったことがない人間でした。二人は「好きが分からない同士」として惹かれ合うんですが、そこから物語は予想もしない方向へ動き出します。燈子が侑に告げる言葉。侑の中で静かに、でも確実に変化していく何か。二人の関係は「好きが分からない者同士の連帯」では終わらないんです。

この作品、恋愛の甘さだけを描いているわけじゃありません。自分の気持ちに名前をつけられない苦しさ、相手の期待に応えられない罪悪感、「こうあるべき」という呪いに縛られる痛み。そういう、恋愛の手前にある、でも恋愛と地続きの感情が、容赦なく丁寧に描かれていくんです。侑が自分の心と向き合っていく過程は、読んでいて胸が苦しくなるほどリアルで、でもだからこそ、彼女たちが一歩を踏み出す瞬間の尊さが際立つんですよ。

台詞の一つ一つが無駄なく研ぎ澄まされていて、言葉にならない感情が表情やコマ割りで語られる。静かな作品なのに、読後の余韻がいつまでも消えない。そういう漫画です。

好きってなんですか? その答えを探す旅に、あなたも出てみませんか。

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