『デリヘル嬢、帰省』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
地方都市で風俗嬢として働く主人公が、久しぶりに実家へ帰省する。家族は彼女の職業を知らない。母は相変わらず小言が多く、父は無口で、弟は冷めた目でこちらを見る。かつて暮らした部屋、変わらない風景、変わってしまった自分。仕事の話を濁しながら過ごす数日間は、どこか息苦しく、どこか懐かしい……。
udsは「おやすみシェヘラザード」で性産業に身を置く女性たちの日常を丁寧に描いてきた作家だが、本作ではその視点をさらに研ぎ澄ませている。デリヘル嬢という職業を扱いながら、この作品が本当に描くのは「帰れない場所」への複雑な感情だ。家族との会話のぎこちなさ、地元の友人との距離感、かつての自分が置き去りにされた感覚。それらは職業の特殊性を超えて、誰もが抱える「故郷との齟齬」そのものである。作中に派手な事件は起きない。ただ、何気ない会話の端々に滲む違和感、家族の何気ない一言に潜む棘、そして主人公自身の諦念が、静かに、しかし確実に読者の胸に突き刺さる。アシオナcomicという場で発表されたことも含め、これは「日常系」の皮を被った傑作家族劇です。
帰省という誰もが経験する行為が、これほど切実なドラマになり得るとは。全3巻、一気読みを推奨します。
まだ読んでいないあなたへ
帰省して実家の玄関を開けた瞬間、あなたは何を思うんでしょうか。
この漫画の主人公は、デリヘル嬢として働く20代の女性です。年末、久しぶりに地元に帰ると、そこには変わらない家族の空気と、でも確実に時間が経った痕跡がある。母親は相変わらず過干渉で、父親は無口で、弟は反抗期を抜けきっていない。彼女は自分の仕事のことを一切話せません。話したくても話せない。その距離感が、ページをめくるたびに胸に刺さってくるんです。
udsさんの絵は、派手な演出を一切しないんですよ。登場人物の表情も、背景も、すべてが淡々としている。でもその淡々とした描写の中に、言葉にならない感情が滲み出ているんです。主人公が実家の自分の部屋で一人になったとき、昔のアルバムをぼんやり眺めているとき、家族と食卓を囲んでいるとき。何気ない瞬間に、彼女が抱えている孤独や葛藤が静かに浮かび上がってくる。
この作品が描くのは、特別な事件でも劇的な展開でもありません。ただ、誰もが経験したことのある「帰省」という日常の中で、家族との距離、自分の選択、そして居場所について考えさせられるんです。読み終わったとき、きっとあなたも自分の実家のことを思い出すはずです。
全3巻、一気に読んでください。静かに、でも確実に心に残る作品です。