『玉三郎 恋の狂騒曲』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
まだ読んでいないあなたへ
主人公が60歳の歌舞伎役者なんです。
岸裕子が描く「玉三郎 恋の狂騒曲」は、人間国宝級の女形・坂東玉三郎が、ひょんなことから30代の売れない漫画家の女性と奇妙な共同生活を始める物語。普通なら「年の差ラブコメ」で片付けられそうなこの設定を、岸裕子はまったく違う角度から料理してくるんです。玉三郎の佇まいがもう尋常じゃない。舞台を降りても艶やかで、気品があって、でも人間臭い。長年芸に生きてきた男の孤独と矜持が、何気ない仕草ひとつに滲み出てる。
この漫画、恋愛がどうこうより先に「老いと芸と生きること」が描かれてるんですよ。60年間舞台に立ち続けた男が、ふとした瞬間に見せる弱さや迷いが胸に刺さる。そして、売れない漫画家の女性も単なる恋のお相手じゃなくて、自分の表現と向き合う一人の表現者として描かれてる。二人が交わす会話は、芸術論であり、人生論であり、だからこそ静かに胸を打つんです。
岸裕子の絵がまた素晴らしい。玉三郎の表情の繊細さ、着物の襟元に宿る色気、年齢を重ねた手の美しさ。どのコマも見惚れるほど丁寧で、そこに「老いた身体の色気」がちゃんと宿ってる。
全3巻で完結してるから、週末にまとめて読めます。読み終わった後、年齢を重ねることが少しだけ怖くなくなる。そんな漫画なんです。
『玉三郎 恋の狂騒曲』は岸裕子による漫画作品。小学館より全3巻で完結済み。