『サイコミ』の最新刊・次巻発売日・全巻情報まとめ
この作品について
編集部の新人・佐伯タクトは、配属初日から上司の暴言と理不尽な指示に翻弄される。だが、この編集部には奇妙な掟がある。上司の言葉を額面通りに受け取ってはいけない。「帰れ」は「もっと働け」、「お前には無理だ」は「期待している」——そんな"逆説的コミュニケーション"が飛び交う職場で、タクトは漫画編集者として生き延びることができるのか……。
木村裕一の前作『マンガ家さんとアシスタントさんと』では作家側の日常を描いたが、本作では編集者という"黒子"にスポットを当てる。一見、ブラックな職場コメディに見えて、その実、漫画制作の現場で繰り広げられる駆け引きと信頼関係を丁寧にすくい取っている。上司の一見横暴な言動の裏には、新人を育てようとする不器用な配慮があり、タクトもまた次第にその"暗号"を解読していく。編集者と作家、編集者同士の関係性が重層的に描かれ、業界内部の人間からも「あるある」と唸らされる描写が随所に光る。Cygamesのコミック部門から生まれた作品だけに、実体験に裏打ちされたリアリティが説得力を持つ。
編集部という密室で繰り広げられる、笑いと共感の化学反応。あなたが思う以上に、この業界は"サイコ"です。
まだ読んでいないあなたへ
「サイコミ」って雑誌の名前じゃないんです。
これ、漫画のタイトルなんですよ。
主人公は元売れっ子漫画家の男。かつては週刊連載を何本も抱えて編集部を振り回すほどの才能があったのに、今はもう誰も声をかけてこない。そんな彼のもとに、ある日突然現れたのが一人の新人編集者でした。持ってきた企画は「サイコミで新連載を」。でもこの編集者、どこかおかしいんです。妙に距離が近い。妙に主人公の過去を知っている。そして何より、漫画への執念が尋常じゃない。
読んでいくうちに気づくんです。これ、漫画を描く話じゃなくて、漫画に取り憑かれた人間たちの話なんだって。主人公が過去に何を失って、何から逃げてきたのか。編集者が本当に求めているものは何なのか。一ページめくるごとに、二人の関係が少しずつ歪んでいくんですよ。
木村裕一さんの絵がまた絶妙で、普通の会話シーンなのに背筋がざわつく。ペンを握る手、原稿用紙を見つめる目、何気ない表情の裏にある感情が、線一本から伝わってくるんです。サスペンスでもあり、人間ドラマでもあり、そして漫画業界の闇と光を容赦なく描いた作品。
まだ3巻。今から追いかけられます。次にどんな真実が明かされるのか、毎回ページをめくる手が震えるんです。